三菱電機が、2018年のブラック企業大賞になりました。こういうのは、氷山の一角でしょうから、適正化するために、各社どんどん公表していくほうが良いと思います。ただ、「適正化」という言葉は、一人歩きさせると企業の体質によっては、使える時間だけが無理やり減って、仕事量は減らないので、中の人(プロジェクトの実働部隊)だけが苦労する場合があるので、注意が必要です。特に小さい会社は、存続がかかっていたりするので難しい面もありますね。
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1812/23/news026.html
大きくは企業の体質の問題で業界がそうとは限りませんが、今回は私の転職経験をもとに、家電業界と自動車業界について思うことを書いてみたいと思います。
家電業界と自動車業界の違い
私は、転職を2回経験しています。1回目は、新入社員として入り10年勤めた大手家電メーカのソフト子会社を辞めたときです。2回目は、中途で入った自動車部品メーカの子会社を3年ほどで辞めたときです。どちらも従業員は数千名の比較的大きな企業です。
辞めた理由ですが、1回目は、転勤が主な理由です。2回目は、長時間労働&労働環境が理由です。現在は、小さい会社で趣味(独学)で続けていたネットワーク関連の知識を生かした、インフラ関係の仕事をしています。まずは、これらの業界について思うことを書いていきたいと思います。
ちなみに、家電業界の時も自動車業界の時も、どちらも「組み込み開発」です。まずは、家電業界と自動車業界を比較してみます。
家電業界
私がいたときに感じた、家電業界のイメージは以下の様な感じです。
- 市場事態が今後の成長に乏しいものが多い(海外の安い製品に押されている)。
- 例えば、40インチのプラズマテレビや液晶テレビが出だしのころ、2,30万していたと思えば、すぐに10万切ってしまうようになったように、花形でも値崩れしやすい製品が多い印象。
- 金になる主市場が少ないため、自動車業界や建設業界と電池制御やカメラ技術など得意分野で協業を目指す。
- システム開発にも手を出しているが、中身はほとんど外注品(OEM)で技術を抑えれるメンバーが少ない。マネージャーになると技術をしなくなる。
- IoTといわれるが、今のところネットにつながってうれしい家電製品は少ない。
- TV、PC、スマホ事業の縮小や撤退から見えるように、コモディティー化・グローバル化に対して弱い印象。
- 組み込み開発自体泥臭い業界で、ITドカタのように感じるプロジェクトが、いくつかあった。(残業が多く、メーカーの発注による影響が大きい)
- 年末年始、お盆、GWの休暇は、全社一斉の有給消化日も併せると、一般企業より多かった。
自動車業界
私がいたときに感じた、自動車業界のイメージは以下の様な感じです。
- 市場事態は現在、自動運転技術やエコカー(法令)などで盛り上がっている。
- 家電業界より、開発スタイルや開発環境、コンプライアンスなどの面で、5~10年ほど遅れているイメージ。
- 新入社員の時に話されていた内容、問題になった話など、中途入社時に一部問題になり始めて変わろうとしていた。
- 保守的で、新しい技術を取り入れない。コンパイラを新しくするのに「動作保証(バイナリ比較など)」が必要で、変えることに抵抗が大きい。(※ 安全を考える必要があるため当然ではある。)
- 古いソフトのバグ修正や流用での開発に、困ることがある。(コンパイラがWindowsXPまでにしか対応していないなどざら)
- 家電業界と違って、値崩れが少ないイメージが強い。新車の価格って、昔と比べてむしろ値上がりしてませんか?
- 自動運転など成長分野ではあるが、まさに、グローバル化やコモディティー化されていく技術で、立ち回りを失敗する企業は負け、家電業界と同じ目にあう印象が残る。
- 同じ組み込み開発でも家電業界と比べて、よりメーカが唯一絶対神で、自由度が低い。決められたことを淡々とこなし物量も多いため、よりITドカタ感が強かった。
- 祝日は休みではありませんが、代わりに年末年始・お盆・GWは長い(メーカー含め自動車業界では一般的のようです)。これが意外と、最後まで慣れませんでした。
残業時間は?
どちらも残業が日常で、社畜まっしぐらでした。もちろん、プロジェクトやチームによっては、定時に帰れる場合もあるとおもいますが、開発では少数派だと思います。上のイメージ写真のように、一人で残ることはほとんどなく、チームやプロジェクトの過半数のメンバーが残っています。
家電業界のほうは、毎月だいたい40時間~50時間、残業していて年間は540時間~600時間でした。当時、私が属していたのは、中~高稼働のプロジェクトまたは、チームです。
自動車業界のほうは、毎月だいたい60時間~70時間、残業していて年間は600時間~700時間でした。当時、私が属していたのは、高稼働のプロジェクトまたは、チームです。
基本的には、両社ともコンプライアンスの面で、22:00以降は深夜残業の申請を出さないと、働けないことになっていました。月間残業時間も決められた時間があり、超える場合は要申請。3か月連続で越えるのはダメなど、36協定を意識して社内ルールが作られています。
ただし、これが問題を含んでいて、22:00以降や月間残業時間が無くなって、これ以上働けない状態となっても、仕事は減らないのです。「土日に自主勉強しに~~」や、「今日は勉強のため自主的に残って~~」なんて感じで、残業がつかないように働くこともありましたし、周りもやっていました。ひどいときは、先に退勤したことにし、深夜残業申請をしている人と一緒に残ったり(退社の時打刻逃れのため)、有給消化を促されるので、エア有給なんてのもありましたね。まさに社畜です。
私的には、「会社好き」で「たまに」であれば、「まあいいか」なんて気持ちもありはするのですが、1年中や数年間ずっと常態化すると、結局は仕事を取るために、押し込まれることを甘んじて受けるしか能がない、マネジメント職の無能さを感じざるを得ません。
給料は?
どちらも一般的に言う「係長級」の役職で、会社での評価は標準より高かったと思います。あえて両社を比較すると、若干自動車業界が良かったです。理由としてはボーナスが多かった(5.xヵ月分)ためです。両社とも残業代は、「無理な正常化」のための打刻逃れや休日出勤を除けば、すべて出ていましたので、年収で700~800万円近くもらっていました。(使う暇などありませんけどね。)
私の体力であれば、家族との時間よりも睡眠を優先していました。また、自動車業界の方は祝日が無かったので、前職と比べると休日出勤を祝日のたびにしているようなものなので、家族ともども驚いたものです。
転職してみて
最初の会社は自由度が高く転勤以外の不満はなかったことや、新卒から入っているので心身ともに馴染んでいたこともあり、家電業界から自動車業界に移った時のカルチャーショックは、相当大きかったです(例えが、不適切かもしれませんが、ホワイトカラーからブルーカラーに転職したように感じました。また、祝日がないことを入社式まで知らなかったために、入社式で愕然としました)。もちろん、配属されるチームカラーやプロジェクトの状況にもよるでしょうが・・。
そして、比較のところにも挙げたように、家電業界は市場が尻すぼみ気味で、自動車業界は今が盛り上がり時であることを考えると、どちらが良いか一概には言い切れません。
しかし、どちらの業界も用心しなければグローバル化により、企業トップの判断で末端社員が大変なことになる可能性を秘めていると思います。結局のところ高給に胡坐をかいている状態で、カタタタキや拠点閉鎖にあった場合は、次の職は無いと思うので、自分を常に磨くよう努力したいものです。
まだ書き足りませんが、長くなったので一旦ここらで中断して、次回に回します。次回は転職時の決め手やポイントなんかも書けたらと思います。