今週のマーケット要約
- 今週のマーケットは「インフレ再燃 vs AI相場の熱狂」という二つの力が激しくぶつかり合う一週間だった。
- 週前半、4月CPIが前年比+3.8%(約3年ぶり高水準)と市場予想を上回り、PPIも前年比+6.0%と大幅超過し、米10年債利回りは約10ヶ月ぶりの水準へ急上昇、30年債は5%超えを記録した。
- 上院はケビン・ウォーシュをFRB新議長として54-45の僅差で承認し、利下げ期待と利上げリスクが混在する新体制がスタートした。
- 一方、トランプ大統領は訪中し習主席と首脳会談を行い、中国がボーイング機200機を購入する合意が発表されたが、事前の期待(500機超)に届かず株式市場はやや失望。
- 日本では同週、日銀の利上げ観測が高まり日本国債(10年)利回りが約2.7%に達し、フジクラの冴えない決算が半導体関連売りを誘発、日経平均は週を通じ上値の重い展開となった
今週の主導アセット(Market Drivers)
ホルムズ海峡閉鎖継続・原油急騰
ホルムズ海峡が実質的に閉鎖された状態が続く中、WTI原油先物は以前高値圏で推移。IEAは今週、仮に翌月停戦が実現しても世界の石油市場は10月まで著しく供給不足の状態が続くと警告した。
5/11、トランプ大統領はイランの和平提案を「ゴミ」と呼び捨て、停戦は「大規模な生命維持装置の上にある」と発言し、交渉は一層悪化した。イランは核施設の解体は拒否しつつも、高濃縮ウランの一部を第三国に移転する提案を行ったが、海峡通行条件で協議は難航している。
「エネルギー価格上昇→インフレ高止まり→FRB利下げ困難→スタグフレーション懸念」、という連鎖が市場の重荷となった。
米CPIおよびPPI・インフレ再燃
両インフレ指標を受け、CMEのFedWatchでは12月までに利上げが実施される確率が約16%から36%に急上昇した。エコノミストは「100ドル超の原油価格の影響がコスト全体に波及しており、生産コストが全面的に上昇している」と指摘。
ケビン・ウォーシュFRB新議長承認
ウォーシュ新体制の初回FOMC会合は6月16〜17日に予定されており、スタグフレーション懸念が高まる中での難しい船出となる。前FOMCでは3名の委員が「次の動きは利下げ」とする文言に反対票を投じており、FOMCは近年稀なほどの意見対立を抱えた状態が続いている。
日銀利上げ観測の高まり・日本金利急騰
エネルギー主導のインフレ長期化リスクを背景に、日銀4月会合の主な意見として、委員の一人が「できるだけ早期に政策金利を引き上げるべきだ」と発言しており、利上げ観測から、日本の10年国債利回りは週末05/15に約2.7%に達し、約10年ぶりの高水準を記録した。
日本株市場では05/14、フジクラの27年3月期の純利益見通しが市場予想を大幅に下回ったことをきっかけにAI・半導体関連銘柄に売りが波及した。日本国債(10年)の利回りが一時2.635%と約29年ぶりの高水準をつけ、割高感が株式の重荷となった。
週間パフォーマンス表
| 市場 | 前週末 | 今週末 | 週間騰落 |
| S&P500 | 7,399 | 7,409 | 0.13% |
| NYダウ | 49,609 | 49,526 | -0.17% |
| NASDAQ | 26,247 | 26,225 | -0.08% |
| 米10年債 | 4.36 | 4.597 | 5.44% |
| 日経平均 | 62,714 | 61,409 | -2.08% |
| TOPIX | 3829.48 | 3863.97 | 0.90% |
| WTI原油 | 94.7 | 101.2 | 6.84% |
| ゴールド | 4715.7 | 4540.6 | -3.71% |
| DXY | 97.8 | 99.3 | 1.46% |
市場センチメント
VIXは週初は比較的落ち着いた水準(16〜17台)で推移していたが、週末にかけてホルムズ海峡問題の再燃・エネルギー価格急騰でリスク警戒感が高まり上昇した。20を下回る水準であり、パニック的な恐怖の段階には至っていない。
Fear & Greed Index に関しては、1カ月ほど前は、30程度の恐怖(Fear)を差していたが、現在は強欲(Greed)圏で推移。
来週のイベント
5月20日(水):Nvidia Q1 FY2027 決算発表
今後のAI相場の行方として重要。Nvidiaの決算は単なる一企業の業績ではなく、「AIへの設備投資サイクルが続いているかの証明書」 として機能する。Q2のコンセンサスはすでに約860億ドルに達しており、これを下回るガイダンスが出た場合は「成長鈍化」と読まれ、Q1が好決算でも株価が下落する可能性がある。
5月22日(金):日本全国消費者物価指数(CPI)
日銀の次の利上げ判断に直結する。日銀の利上げ判断の基準は主に以下の2点で、どちらもCPIで確認される。円相場・日本株に影響する。コアCPI(生鮮食品除く)が2%を安定的に上回っているか。コアコアCPI(生鮮食品・エネルギー除く)が上昇しているか。コアコアが重要な理由は、日銀が「エネルギー高によるコストプッシュ型インフレ」ではなく、「需要主導の持続的なインフレ」を確認したいからだ。単にエネルギーが高いだけでは、日銀は利上げの正当性を説明しにくい。




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