2026/07/12~2026/07/18 振り返り

今週のマーケット要約

  • 今週の主役はAI・半導体だった。中国Moonshot AIが大規模モデル「Kimi K3」を公開(07/16)したことをきっかけに、AI設備投資の持続性とバリュエーションへの疑念が広がり、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は週間で9%超下落した。米ハイテク主導の調整が週後半の相場を支配した。
  • 日本株も米半導体安の影響を強く受けた。日経平均は07/17に大幅続落し、週間の下げ幅は過去最大となった。円は対ドルで162円台と歴史的な安値圏にとどまった。
  • 中東情勢は一段と緊迫した。週末から週初にかけて米国とイランが攻撃を応酬し、ホルムズ海峡の航行リスクが意識されて原油が急伸(07/13)。ブレントは1日で大幅高となり、エネルギー株は週間で上昇した数少ないセクターとなった。
  • 金は地政学リスクの高まりにもかかわらず週間で下落した。原油高がインフレ再燃・金融引き締め観測につながったことが背景と報じられている。
  • 中国の4〜6月期GDPは前年比+4.3%と市場予想(+4.5%)を下回り、成長目標レンジを外れた(07/15)。不動産投資の落ち込みが続き、世界景気の下振れ材料として意識された。

今週の主導アセット(Market Drivers)

AI・半導体バリュエーションの調整

週後半の相場を決定づけたのは半導体株の急落である。中国のMoonshot AIが公開した「Kimi K3」がオープンウェイトモデルとして最大規模であり、ベンチマークで米国の主要モデルに肉薄したと報じられたことで、2025年のDeepSeekショックとの類似性が意識された。市場は「AIの性能向上に必ずしも巨額のGPU投資が必要ではないのではないか」という論点を再び織り込みにいった格好である。アプライドマテリアルズ、ラムリサーチ、インテル、KLA、アームなどが軒並み下落し、エヌビディアやマイクロンも売られた。SOXは週間で9%超、7月月間では17%超の下落となった。もっとも市場関係者の見方は割れており、「AIテーマが壊れたのではなく成熟しつつある兆候」として、投資サイクルの健全な調整と位置づける声も報じられている。Netflix の慎重な見通し(07/16)もハイテク全体のセンチメント悪化に重なった。

中東情勢の緊迫と原油急騰

米国とイランの攻撃応酬がホルムズ海峡周辺のエネルギーインフラに及び、世界の石油消費のおよそ5分の1が通る海上輸送路の安全性が問われる展開となった。イランはホルムズ海峡の封鎖を宣言し、西側は航行可能と主張するなど情報が錯綜した。米国の商業原油在庫が5年平均を6%程度下回る水準にあり、需給に余裕がなかったことが値動きを増幅したと報じられている。OPEC+が増産計画の先送りを示唆したことも上値を支えた。エネルギーセクターは週間で唯一まとまった上昇を示し、株式全体がリスクオフに傾く中での明確な逆行高となった。

中国経済の減速

中国の4〜6月期GDPは前年比+4.3%(前期+5.0%)、前期比+0.9%と、年率ベースで当局の目標レンジ4.5〜5.0%を下回った。上半期通年では+4.7%で目標レンジ内にとどまるものの、目標を外したのはパンデミック以来である。内訳では6月の鉱工業生産(前年比+5.3%)と小売売上高(同+1.0%)が予想を上回った一方、上半期の固定資産投資は前年比−5.7%、うち不動産投資は−18%と落ち込みが続いた。中東情勢による貿易環境の悪化も重なり、世界景気の減速材料として意識された。

6月CPIの鈍化とウォーシュ議長の議会証言

6月CPIは前月比−0.4%と、事前予想の−0.2%を下回る鈍化となり、月次の下げ幅は2020年4月以来の大きさとなった。前年比も3.5%へ低下し、7月利上げの織り込みはFedWatchベースで前日の42%から17%程度へ急低下した。米国債は買われ、10年債利回りは07/13につけた2カ月ぶり高水準の4.62%から4.55%近辺へ低下して週を終えた。一方で同日の半期金融政策報告でウォーシュ議長は「持続的に高いインフレを許容しない」と述べ、1カ月のデータで勝利宣言はできないとの姿勢を明確にした。FOMC参加者の見方も年内利上げの是非で二分されていると報じられており、原油高がインフレ期待を押し上げる中で、政策の方向感は依然として定まっていない。

週間パフォーマンス表

米国株は半導体主導で週間下落となり、S&P500は3月以降で3度目の下落週となった。日本株は米半導体安を直接受けて07/17に急落し、週間の下げ幅は過去最大を記録した。原油は中東情勢の緊迫で大幅高、金は地政学リスクの高まりにもかかわらず下落し、11月以来の水準まで水準を切り下げた。円は対ドルで162円台と40年ぶりの安値圏で推移し、当局の対応姿勢が見えないことが上値を重くしたと報じられている。米金利はCPI鈍化と地政学リスクが相殺し、週間ではほぼ横ばいで着地した。

市場 前週末 今週末 週間騰落
S&P500 7,575 7,458 -1.55%
NYダウ 52,637 52,146 -0.93%
NASDAQ 26,282 25,520 -2.90%
米10年債 4.561 4.549 -0.26%
日経平均 68,558 64,141 -6.44%
TOPIX 4036.08 3919.21 -2.90%
WTI原油 71.5 84.0 17.48%
ゴールド 4120.7 4017.1 -2.51%
DXY 101.0 100.8 -0.12%

市場センチメント

VIXは週初、米国とイランの攻撃応酬を受けて一時17台へ切り上がったが、6月CPIの鈍化を受けた週半ばにはいったん16台へ落ち着いた。しかし週末にかけて半導体株の下落が加速すると再び上昇し、07/17には前日比10%超の急伸で18台へ水準を切り上げて着地した。地政学リスクと金融政策不透明感で高止まりしていたところに、AI関連のポジション調整が重なった形である。Fear & Greed Indexは週半ば時点で44(Fear)と、CPI鈍化にもかかわらず慎重な地合いを示していた。

来週のイベント

特になし

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