今週のマーケット要約
- 中東情勢の悪化が今週最大のテーマとなった。米軍による対イラン攻撃が連日続き(週末時点で13日連続)、フーシ派が紅海でサウジの石油タンカー2隻を攻撃。原油は週間で約1割上昇し、ブレントは一時1バレル100ドルを突破した。
- 07/24、トランプ政権が対米貿易相手国上位60カ国・地域に10〜12.5%の新関税を金曜未明に発動。対象は米輸入の99.4%に及び、日本製品には自動車を含め15%が適用される。関税再燃がリスク回避を強めた。
- S&P500企業の4-6月期決算は好調(増益率は24〜26%、8割超が市場予想を上回る)だったが、AI関連の設備投資拡大への懸念から株価の反応は限定的。アルファベット・テスラの決算が嫌気され、ハイテク・半導体株から資金が流出した。
- 円安が加速し、ドル円は163円台と1986年12月以来(約39年7カ月ぶり)の円安水準を記録。米財務省が日銀に一段の金融正常化を促すなど、来週の日銀会合を控え利上げペースを巡る思惑が交錯した。
- FOMC(07/28-29)を来週に控え、原油高によるインフレ再燃観測から年内追加利上げの確率が上昇。市場は据え置きを織り込みつつも、利上げ確率の高まりを意識した。
今週の主導アセット(Market Drivers)
中東情勢の緊迫と原油急騰
今週の市場を最も動かしたのは中東の地政学リスクである。米軍はホルムズ海峡の航行脅威低減を掲げてイランへの攻撃を連日実施し、週末時点で13日連続となった。イラン支援のフーシ派が紅海でサウジの石油タンカー2隻を攻撃したと主張し、供給不安が一段と高まった。さらにロシア黒海沿岸のカスピ海パイプラインコンソーシアム(CPC)ターミナルが攻撃を受け、カザフスタン産原油輸出の約8割に影響が及んだと報じられ、供給懸念が中東以外にも波及した。報道によれば、原油は週間で約1割上昇し、ブレントは一時100ドルを突破、WTIも90ドル前後で推移した。トランプ大統領はさらなる軍事対応も辞さない姿勢を示しており、当面は原油とリスク資産の重石となる可能性が指摘されている。
トランプ政権の新関税(対60カ国)
トランプ政権は失効する10%の「グローバル関税」に代え、対米貿易相手国上位60カ国・地域に10〜12.5%の新関税を金曜未明に発動した。対象は米輸入の99.4%に及び、日本製品には自動車を含め15%が適用される。ブラジル製品には25%、カナダには30日以内の合意がなければ50%の追加関税を課す方針も示された。関税再燃はインフレ再加速と企業マージン圧縮への懸念を通じて、株式市場のリスク回避を強めたと報じられている。
決算シーズンとAI投資懸念によるハイテク・半導体株の調整
4-6月期決算は総じて好調で、報道・FactSetによればS&P500構成企業の増益率は24〜26%、8割超が市場予想を上回った。しかし、アルファベットが決算を受け約7%安、テスラは営業利益の未達で急落(週間で18%安との報道)し、ナスダックを押し下げた。TSMCは市場予想を上回る決算を発表したものの、設備投資拡大方針が嫌気されAI半導体株が下落した。市場では、好決算そのものより「AI関連の巨額設備投資が本当に回収できるのか」への警戒が優勢となり、ハイテク・半導体から他セクターへの資金ローテーションが進んだとの見方が出ている。
円安の加速と日銀・FOMCへの思惑
ドル円は中東情勢緊迫化に伴う「有事のドル買い」と日米金利差を背景に163円台まで下落し、1986年12月以来の円安水準を記録した。片山財務相は「決然たる対応」に言及し為替介入も辞さない姿勢を示したが、円安に歯止めはかかっていない。一方、日銀が想定より速いペースでの利上げに柔軟との報道を受け、円が下げ渋る場面もあった。米財務省も為替報告書で日銀に一段の正常化を促しており、来週の日銀会合(07/30-31)とFOMC(07/28-29)を前に金融政策を巡る綱引きが続いた。
週間パフォーマンス表
報道ベースでは、中東情勢・新関税・ハイテク株の調整を背景に米国株は週間で下落し、S&P500・NASDAQ・ダウはそろって軟調に推移した。日本株も終盤にかけてAI関連への懸念から下げが目立った。原油は供給不安を材料に大幅上昇、円は対ドルで約39年ぶり安値圏まで下落した。
| 市場 | 前週末 | 今週末 | 週間騰落 |
| S&P500 | 7,458 | 7,412 | -0.61% |
| NYダウ | 52,146 | 51,947 | -0.38% |
| NASDAQ | 25,520 | 24,976 | -2.13% |
| 米10年債 | 4.549 | 4.681 | 2.90% |
| 日経平均 | 64,141 | 64,611 | 0.73% |
| TOPIX | 3919.21 | 4011.31 | 2.35% |
| WTI原油 | 84.0 | 90.5 | 7.69% |
| ゴールド | 4017.1 | 4052.8 | 0.89% |
| DXY | 100.8 | 101.5 | 0.62% |
市場センチメント
VIXは週前半の17前後から、週後半にかけて18台へ切り上がった。中東情勢の緊迫化と新関税の発動、ハイテク株の調整がリスク警戒を強め、恐怖指数がじわりと上昇して着地した格好である。Fear & Greed Index は週を通じて「Fear(恐怖)」圏にとどまり、投資家心理が慎重だったことを示す。Put-Call Ratio は方向感が定まりにくい地合いだった。全体として、好決算という追い風はあったものの、地政学と関税という下押し材料が上回り、センチメントはやや悪化方向で週を終えたと言える。
来週のイベント
7月29日(水):FOMC政策金利発表・ウォーシュ議長会見
- 据え置き(3.50〜3.75%)が大勢の見方だが、原油高によるインフレ再燃で年内追加利上げの確率が上昇。今会合はSEP(経済見通し)の公表がなく、記者会見のトーンが焦点。
7月30日(木):米4-6月期GDP速報値
- 関税・原油高が個人消費と企業投資に及ぼす影響を確認する材料。成長率の上振れ・下振れが利上げ観測を左右する。
7月31日(金):日銀 金融政策決定会合・植田総裁会見
- 据え置き観測が大勢だが、利上げペース加速への言及や成長見通しの上方修正があるか。40年ぶり円安水準を受け、正常化姿勢が焦点。



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