2026/07/26~2026/08/01 振り返り

今週のマーケット要約

  • 週初、イランが「米国が攻撃を止めれば攻撃を停止する」と表明したと報じられ、中東情勢が一旦緩和方向へ動いた。原油は5%近く下落し、米国株は上昇して週をスタートした。
  • FOMCはFF金利を3.50〜3.75%で据え置いたが、3名が0.25%利上げを主張して反対票を投じた。ウォーシュ議長体制ではフォワードガイダンスが撤廃されており、「インフレは選択である」との強硬姿勢が意識された。
  • 「FRBがインフレ対応で後手に回る」との警戒から長期金利が急騰。米30年債利回りは5.244%と2007年以来の高水準、米10年債も4.7%台と2025年1月以来の水準を付けた。同日NYダウは1,100ドル超下落し、2025年4月以来の下げ幅となった。
  • 米4-6月期GDP速報値は年率+1.5%と市場予想(+1.8〜2.1%)を下回った一方、GDP価格指数は+6.3%と大きく上振れた。他方6月のPCE価格指数は前年比3.7%(コア3.3%)へ鈍化しており、成長減速とインフレ再燃が混在する内容となった。
  • 日本の通貨当局が3カ月ぶりとみられる円買い介入を実施したと報じられ、ドル円は約1時間で163円台から157円台へ約3%急落した(07/30、NY市場)。翌日の日銀会合は政策金利1%据え置きだったが、景気判断を上方修正しインフレの2%上振れリスクに言及するなど、タカ派色が強い内容だった。
  • 週末はアマゾンの決算が好感されて株価が急伸、一方アップルは供給制約を理由とした弱いガイダンスで下落した。決算を手掛かりに半導体・ハイテクが買い戻され、米国株は週間でプラス圏に転じて着地した。
  • 中国は7月の政治局会議で「適時に実務的かつ効果的な新政策を打ち出す」と表明したが、大型の新規刺激策の発表には至らなかった。4-6月期GDPが3年ぶりの低い伸び(前年比4.3%)となったことを受け、下半期はターゲットを絞った財政・投資支援に軸足を置く姿勢が示された。

今週の主導アセット(Market Drivers)

FOMCの据え置きと長期金利の急騰

今週最大の材料はFOMCだった。FRBはFF金利を3.50〜3.75%で据え置いたが、地区連銀総裁3名が0.25%利上げを主張して反対票を投じるという異例の展開となった。ウォーシュ議長は就任以降フォワードガイダンスを声明から外しており、市場は次回以降の方向感を読み取りにくい状況に置かれた。報道では、議長が「インフレ目標に緩みはない」と繰り返し強調したことが、かえって「FRBがインフレ対応で後手に回っているのではないか」という疑念を増幅させたと指摘されている。反応は債券市場に強く出て、30年債利回りは5.244%と2007年以来の高水準へ、10年債も4.7%台へ上昇した。長期金利の急騰を嫌気してNYダウは同日1,100ドル超下落し、2025年4月以来の下げ幅を記録した。なお30年債は7月を通じてほぼ5%超で推移しており、5%超の連続日数は2007年以来の長さとなっている。

中東情勢の一旦の緩和と原油の反落

先週まで市場を圧迫していた中東の地政学リスクは、週初にトーンが変わった。イランが米国の攻撃停止を条件に自らの攻撃を停止すると表明したと報じられ、約2週間続いた緊張のエスカレーションに歯止めがかかるとの期待が広がった。原油は週初に5%近く下落し、ブレントは90ドルを割り込み、WTIも84ドル台まで水準を切り下げた。もっともフーシ派の紅海での活動やカザフスタン産原油の積出ターミナルへの攻撃による供給停止など供給側の不安材料は残り、WTIは週内に8ドル超のレンジで振れる荒い値動きとなった。週足では下落したものの、7月月間では20%超の上昇と3月以来の強い月となっており、エネルギー価格がインフレ期待を通じて長期金利を押し上げる構図は継続している。

円買い介入と日銀のタカ派据え置き

木曜のNY市場で、ドル円は約1時間のうちに162円80銭近辺から157円台まで急落した。市場では日本の通貨当局による円買い・ドル売り介入との見方が支配的で、複数の報道が3カ月ぶりの実弾介入だったと伝えている。介入の翌日に開かれた日銀の金融政策決定会合は、政策金利を1%に据え置いた(1995年9月以来の高水準)。ただし景気判断を上方修正し、コアインフレが2%目標を上回る可能性に言及するなど、追加利上げに前向きな姿勢が示された。採決は8対1で、高田委員が1.25%への利上げを提案している。エネルギー輸入価格の高騰と円安が家計の物価負担を強めるなか、為替と金融政策の綱引きが今後も続くとの見方が報じられている。

週間パフォーマンス表

米国株は、週央のFOMCと長期金利急騰による急落を、週初の中東緩和と週末の好決算で取り返す往って来いの展開となり、主要3指数はそろって週間でプラスとなった。日本株は日銀会合と為替介入に振らされて方向感を欠き、週間ではほぼ横ばい〜小幅安。原油は地政学リスクの後退で反落した。ドルは介入と円の急伸を受けて主要通貨に対し軟化し、ドル指数は100を割り込んだ。

市場 前週末 今週末 週間騰落
S&P500 7,412 7,490 1.05%
NYダウ 51,947 52,485 1.04%
NASDAQ 24,976 25,374 1.59%
米10年債 4.681 4.718 0.79%
日経平均 64,611 64,362 -0.39%
TOPIX 4011.31 4003.3 -0.20%
WTI原油 90.5 86.8 -4.06%
ゴールド 4052.8 4045.2 -0.19%
DXY 101.5 99.8 -1.64%

市場センチメント

VIXは週初07/27の18台後半から、FOMC当日の07/29に一時20.88・終値20.66まで上昇し、長期金利急騰とNYダウ1,100ドル安に対する警戒が最も強く出た。その後は07/30に17.09、週末07/31には15.99まで低下し、週初対比では明確に低い水準で着地している。中東情勢の一旦の緩和と、アマゾン決算を起点とした好業績確認がリスク警戒を和らげた格好である。

来週のイベント

8月3日(月):米ISM製造業景気指数(7月)、中国 製造業PMI(7月)

  • 注目理由:原油高と関税の価格転嫁が支払価格指数にどう表れるか。FOMCで利上げ主張が3票出た直後だけに、インフレ関連の内訳が金利観に直結する。中国PMIは政治局会議後の景気実態を測る材料。
  • 影響市場:米金利・ドル・米国株・資源関連。

8月5日(水):米ISM非製造業(サービス業)景気指数(7月)、ADP雇用統計、中国 サービス業PMI(7月)

  • 注目理由:米経済の約7割を占めるサービス業の価格・雇用サブ指数が焦点。4-6月期GDPが1.5%へ減速したなか、サービス需要が持ちこたえているかを確認する。
  • 影響市場:米金利・ドル・米国株。

8月7日(金):米雇用統計(7月)

  • 注目理由:来週最大のイベント。非農業部門雇用者数・失業率・平均時給の3点が、成長減速(GDP+1.5%)とインフレ再燃(GDP価格指数+6.3%)のどちらをFRBが重く見るかの判断材料となる。賃金の上振れは利上げ観測を一段と強める可能性がある。
  • 影響市場:米金利・ドル円・米国株。

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